電車を降り、近くを見渡す。

桜の花びらが、あたしのキャリアケースに舞い落ちる。


「変わってないな~」


この街に戻ってからの第一声になった。

駅から出て少し進むと、懐かしい風景が広がっていた。

公園に、コンビニ、住宅街──

家は少し増えたのかな?


まず、元・あたしの家を見に行く。

ちょっとした好奇心で。

その道並も変わって居なかった。

友達に会えるんじゃないかな~なんて。


立ち寄ってみると、小さい女の子が二人、家の前で遊んでいた。

一人は、幼稚園生ぐらいで、もう一人は一歳くらい?

姉妹かな?

と、勝手な予想を立てる。

ジーッと、眺めてると、中からお母さんらしき女性と、
お父さんらしき男性が出てきた。

……ってこれ、人から見たら、完璧に怪しい人じゃん。

慌てて、その場を去る。


「よかった。幸せそうな家族で」 


自然と声に出していた。

だって、前に住んでた者として、やっぱり良い人に住んでもらいたいしね。