「探しに行く!」
「え?何を?!」
「ツリィ!」
走りながら単語で会話する。
「はぁ」
と、十弥が突然立ち止まった。
「何?」
「約束したろ?七色ツリー」
「え……?」
言っていることが、分からなかった。
「覚えてないのか?」
「いや、そういうのじゃないけど……」
懸命に首を横に振る。
ただ、十弥が覚えてることが、信じられなかった。
とっくに、忘れてると思ってた。
「もしかして、オレが忘れてると」
十弥が意地悪そうに笑う。
図星をつかれ、コクン、コクンとしか、頷けない。
「んなことねェーよ。忘れるかバーカ」
「……っうん!」
十弥がコツンと、あたしの頭をつつく。
優しい笑顔を向けられ、胸がいっぱいになった。
「よし、探すぞ!」
十弥の声と共に、また走り出した。