「瀬戸口、一言、なにか言いなさい」

「みんな、今までありがとう。明日の夜に引っ越します。元気でいてください!」


短く済ませる。

そうじゃないと、泣くから。

あたしは、みんなに深く礼をして、自分の席に戻った。


あたしの席の一つ前──

咲希は、涙で顔がぐしゃぐしゃで、美人さんな顔が美人さんではなくなっていた。


「咲希~、泣かないでよぉ。こっち、まで、涙、うつっるじゃん」


我慢していた涙が溢れた。

二人して、ボロボロと涙を流す。

周りの人が「大丈夫?」と、声をかけてきてくれたけど、気にせず泣いた。

中学生なのに、小さい頃に戻ったみたいに。