ホームルームのチャイムが鳴り、先生が入ってきた。

先生は、教壇に立つと「瀬戸口」と、静かにあたしを呼んだ。

あぁ、ほんとに、ほんとにみんなとお別れなんだ。

今日が最後なんだ。

と、悲しくなり目を潤ませる。


「はーい」


いつものあたしのように返事するように、
引っ越しなんて、寂しいけど平気ですよーって、平然な振りして。

先生のところへ歩いた。


「え~、突然ですが明日、瀬戸口は、引っ越すことになりました。
明日は、その引っ越しのことで忙しいのでこの学校は今日で最後です」


教室がザワつく。

信じられないような顔をしている人もいれば、涙を流してくれた人もいた。

先生の顔をのぞくと、眉を寄せ、困ったような、悲しそうな表情だった。

咲希は、目に涙を浮かべている。


十弥は────


十弥は、口をポカンと開け、眉を八の字にさせ、今起こっている状況が理解していないような表情。


そうだよね。

いきなりそんなこと言われたら、びっくりするよね。


あたしだって、やだよ。

十弥のカノジョは無理だったとしても、そばに居たかったよ。

ごめん。

十弥、ごめん。