Sweet Lover

「――ねぇ、ロスについたら、さらに謎が増えました――ってことは、ないわよね?」

「当たり前だろう?
 もう、マーサに隠していることなんて、何一つないよ」

早足で歩きながら、響哉さんが笑う。

いつも以上に陽気なのはきっと、しばらく『須藤家』のことを忘れていられるからに違いなかった。

そんな笑顔を見ていると、こっちまで釣られて嬉しくなってくる。


婚約パーティーまでの一月(ひとつき)ちょっと、だけでもいい。
今までのしがらみも、この先の憂鬱も。

何もかも忘れて、きっと楽しく過ごせるに違いない。


楽しい新生活に期待を込めて、私たちは一歩ずつ確実に搭乗口に向かって足を進めていった。


Fin.