Sweet Lover

私は頬を赤らめたまま、歩くほか無い。

本当に、響哉さんって顔が良くて口も上手くて――。
ワガママで、自己中で、自分勝手で、謎だらけで――。

それなのに、どうして。
私は響哉さんを見ているだけで、顔が笑っちゃうのか不思議で仕方が無い。

響哉さんの趣味がマジックだから?
私はとっくに、何かの魔法にでもかけられちゃったの?

「ほら、手を離さないでって言ってるだろ?」

出国審査が終わってパスポートを片付けていると、響哉さんがそう言って、私を捕まえに来た。

「出国審査は一人ずつなんだから、仕方ないじゃないっ」

「そう?
 じゃあ、そういうことにしておいてあげる」

俺はオトナだからね、なんて呟くのは、どういう冗談のつもりかしら。