Sweet Lover

「何?」

悪びれもしない、甘い笑顔。
一ヶ月以上一緒に過ごしたのに、未だに慣れるなんてことはなくて――。

私の心臓は、どきりと高鳴る。

「何、じゃなくて。
 私は――」

「まだ、そういう関係にはなりたくない?」

響哉さんは意地悪だ。
本当に夜、一緒に寝るときにはキス以上のことは何もしないくせに。

こうやって、どうしようもないときに、いつも私の気持ちを確かめに来る。

――言葉にするなんて、とても、恥ずかしいのに――

「もういいっ」

私は、セキュリティーチェックに向かって歩き出す。
響哉さんはくすくす笑いながら、私の手を掴んだ。

「迷子になると困る」

「迷子になんてならないもんっ」

搭乗口だってもう、どこかちゃんと分かってるし、パスポートもちゃんと持ってるわ。