広い庭の一角にあるそこは、山小屋を思わせるような、カントリー風の建物だった。
それでも、ちょっと違和感を感じるのは、カントリー風の建物にしては、縦に長いせいだ。
私の不思議そうな視線に気づいたのか、
「ここは、響哉が鳩を飼っていたところ」
と、先生が教えてくれた。
鳩のための小屋にしては立派過ぎません? というのは野暮なので止めておく。
母親の名前すら知らない少年の、ささやかな趣味。
そのために、彼の祖父がお金を惜しむとは思えなかった。
「本当にいいよ。
真朝ちゃんは付き合わなくて」
先生が私を見て、穏やかに笑う。
「見届けないと、納得いかないわ」
「それはそれは、殊勝な心がけだね。
――犯罪者と会話を交わすなんてあまり、愉快なことはないと思うけど――」
幾度も私を止めようとする先生を押し切って、私も小屋の中へと足を踏み入れた。
それでも、ちょっと違和感を感じるのは、カントリー風の建物にしては、縦に長いせいだ。
私の不思議そうな視線に気づいたのか、
「ここは、響哉が鳩を飼っていたところ」
と、先生が教えてくれた。
鳩のための小屋にしては立派過ぎません? というのは野暮なので止めておく。
母親の名前すら知らない少年の、ささやかな趣味。
そのために、彼の祖父がお金を惜しむとは思えなかった。
「本当にいいよ。
真朝ちゃんは付き合わなくて」
先生が私を見て、穏やかに笑う。
「見届けないと、納得いかないわ」
「それはそれは、殊勝な心がけだね。
――犯罪者と会話を交わすなんてあまり、愉快なことはないと思うけど――」
幾度も私を止めようとする先生を押し切って、私も小屋の中へと足を踏み入れた。