朝の身支度を整えてブランチを取る。

のんびりした時間が流れていく。

「今日は何処に行こうか?」

デートの誘いを思わせる、魅惑的な笑顔。

「……お仕事、なんですよね?」

「日曜日くらい、俺の自由にさせてもらってもいいでしょ? 日本人って本当、ワーカホリックなんだから」

言って、響哉さんはくすりと笑う。

「響哉さんって、日本人じゃないの?」

言葉尻を捉えて聞いてみる。

「もちろん、正真正銘の日本人だよ。どうして?」

「だって、昨夜ものすごく流暢に英語喋ってたじゃない?」

「ああ。
 そんなの簡単。片道切符でアメリカに行って、命の危機を感じ続けたら、必死になって誰だって英語くらい喋れるようになるよ」

今、さらりと、怖ろしいようなことを仰いましたね?
しかも、涼しい笑顔を浮かべて。


……油断ならない。ただならない。

私、絶対に響哉さんから逃げ切れない気がしてきたー。
人生の経験値が違いすぎるんだもんっ。