背後で律はため息をついた。 「何十年もかけて、また私の邪魔をするんだな」 『律』 「懲りないなぁ、お前は」 『律、楓を離すんだ』 「そっちが真珠を渡したら、な」 『律、それは!』 あぁ、と律はナイフを浩二郎にちらつかせる。 「見覚えでもあるのか?」 『律、同じ過ちを繰り返すつもりか?』 「まさか」 『そのナイフは…』 「…あの時、これでお前を殺したんだよなぁ」 皆が一斉にざわめく。