波音の回廊

 こんな風に。


 私は何気なく、現代の知識を口にしてしまう。


 それらの多くは、この時代の人がまだ知らない情報。


 迂闊に余計なことを言ってしまうと、大変な事態を起こしかねないので、日々気をつけなければならなかった。


 「あ、ちょっと勘違いしちゃった。ほらあそこを見て」


 指でWの形を示し、何とか清廉にカシオペア座を教えることができた。


 「あの星座はね、外国の高慢なお妃様なの」


 「あちこちの国に、性格のキツいお妃や女神って存在するんだな。この島もそうだけど」


 二人で顔を見合わせて笑った。


 「そうそう、そしてそのお妃様がある日……」