波音の回廊

 私は、余計なことをしゃべって歴史が変わってしまうことを恐れ。


 記憶があまりないことにして、未来の情報に関わる話は避けていた。


 だけど、あまりにしゃべる内容がないのも寂しくて。


 星の話くらいなら大丈夫だろうと判断して、現代の世界で慣れ親しんでいた星座の話などを清廉にした。


 当然西欧文明が起源の天文学は、まだ伝わっておらず。


 清廉は面白がって私の話を聞いてくれた。


 「では今回は、あのW型の星座の話でもしようかな」


 「だぶりゅーってどれだ?」


 「!」


 しまった、清廉がアルファベットを知ってるはずもない。


 「あ、ごめん。数字の3にも似た形かな」


 「さん? 三? そんな星座あるか?」


 まだ「3」など算用数字も伝わっていなかった。