「寝込みを襲われたこともあるし、かなり強引に迫られたこともある。だけど絶対に、七重の思い通りになんてならない」


 清廉はきっぱり誓った。


 「私は、愛してもいない娘など抱かない」


 そうは言っても。


 次期当主として、後継者を設けなければならない義務もあるのだから。


 いずれ清廉も、周囲が認めた娘を娶って、そして……。


 「私は、瑠璃がそばにいればいい」


 「えっ」


 急に手首を引かれた。


 「瑠璃と一緒ならば、それだけでいい」


 そのまま清廉に寄り添った。


 「清廉……?」


 私はそれ以上、何も言えなかった。


 側にいるだけで、こんなに居心地がいいのに。


 この時間は、永久には続かないのがつらい。


 彗星が妖しい輝きを放っている間に、何もかも終わりを迎えてしまうはず……。