「……とにかく、連れて帰りますので」


 清廉は私を連れて、清明の部屋を出て行こうとした。


 「待て、その女は俺の獲物だ」


 「違います。私の客人です。倒れたので私の部屋で介抱していたのですから。……これ以上この娘に無体なことをしますと、いくら兄上でも許しませんよ」


 大柄な清明よりは、若干体格面では劣っている清廉が。


 毅然と清明に言い放った。


 「はいはい分かりましたよ。俺は兄とはいえ、水城家の正統な後継者である清廉さまには、逆らえない身分ですから!」


 急に清明はふてくされた態度でそう言い放ち、私たちに背を向けた。


 「行こう」


 清廉に促され、私もその場を後にした。