「もう私の方がずっと、あなたより年上になっちゃったね……」


 私は今年27。


 一方清廉はいつまでも、私の記憶の中で19歳の若者のまま。


 今私はあの日みたいに、波音に包まれた水城島へと続く回廊が現れるのを待っていた。


 そこを歩いて、再び水城島へ。


 もう一度、清廉に会うために。


 できることならば、前回よりももうちょっと前の時期がいい。


 そうすれば津波対策もゆっくりできるし、清廉が罪を犯すのも事前に阻止できる。


 だから海の神様、もう一度私を水城島へ……!


 強く祈った。


 祈ろうとした。


 だけど集中できない。


 精神を統一させなければ、島へと続く一本道など見えてこない。


 もしかして私は、水城島で一生を終えたいとは願ってなどいない?


 「どうして……?」


 清廉の面影が薄れていく。


 それに反比例して、私が強く願うようになったのは……。


 「瑠璃!」


 私を地上に引き戻そうとする、清春の声。