「物心ついた頃から、いつも感じていたんだ」


 清春の言葉に耳を傾ける私。


 「何を?」


 「俺の戻るべき場所が、どこかにあるような気がして。いつも焦燥感みたいなものを抱えていた」


 ……清春は徐々に、私に心を開いてくれるようになった。


 つい「清廉」と呼び続ける私を、意固地になって避けていたけれど。


 時間の経過と共に、会話が続くようになった。


 そして互いに、自分の話もするようになった。


 清春は東京の医大に通っていた。


 偶然にも清廉と同じく、私より二歳年上。


 「でも何でそんな気持ちになるのか、幼い頃は分からなかった。そしたら大学生になった頃、たまたま見ていたテレビ番組で……」


 「テレビ番組?」