「違う……」


 急に抱かれる腕の力が強まったので。


 私は息苦しさをこらえながら、説明した。


 「もうすぐ、この島に大津波が押し寄せるの!」


 ようやく打ち明けられた。


 「津波?」


 先ほどの地震で、一抹の不安を感じていたからか。


 清廉は私を離して立ち上がり、部屋の小窓から外を眺めた。


 「静かな海だ。不気味なほどに暗いけど」


 まだ津波が姿を現すどころか、予兆もない。


 清廉は私の言ったことなど、全く信じていない様子。


 「お願い。急がないと大変なことになるの! この島よりも高い津波が来るんだから! 早く逃げないと、手遅れになっちゃう!」


 「お前がどうして、そんなこと知ってるんだ?」


 「……」


 私は決意をした。


 本当のことを話そう、と。