波音の回廊

 「それにしてもあんた、妙な文字の入った服を着てるけど、本当にこの島の人? それともどっかから流れ着いたのかい?」


 この日の私は、体にぴったりなTシャツにジーンズ姿だった。


 「LOVE」など英文字の入ったTシャツ。


 「!」


 はっとして私は、彼らの衣服を見た。


 それらは着物にかなり似ていたのだけど、ちょっと変わった衣服だった。


 部屋を見渡すと、やはりおかしい。


 現代日本とは思えないような作り。


 調度品もまるで、時代劇に出てくるような。


 私はだんだん心配になってきた。


 ここは、自分が住んでいる世界とは別に見えたのだ。


 「改めてお聞きしますが、ここは何ていう地名ですか?」