波音の回廊

 「清廉!」


 私の呼ぶ声も届かないほどに。


 清廉は呆然と、七重の亡骸の前に立ち尽くしていた。


 その奥には、寝台に横たわる当主の姿が。


 すでに亡くなっているようだ。


 想像するに七重が、毒で弱っていた当主にとどめを刺したのだろう。


 そして清廉は、怒りに任せて七重を斬ってしまったのだろう。


 ほんの短時間のうちに、じいが、清明が、当主が、そして七重が……、命を断ち切られてしまった。


 清廉が背負わされた罪の意識は、計り知れない。


 私もどう言葉をかけるべきか、途方に暮れていた。


 その時だった。


 「清廉、そこにいるのか……」


 寝台から声が聞こえた。


 亡くなったと思われた当主は、まだ息があった。