波音の回廊

 「な、何のことかしら?」


 「あなたは自分の欲望を満たすために、父に近づき、兄を誘惑し、そして破滅させ……」


 清廉はちらっと、寝台に横たわる父を見た。


 すでに息はしていないようだ。


 (一足遅かったか!)


 自分を殺すために清明を遣わしている間に、この女は当主を殺害したのだと清廉は察した。


 そして……。


 危機を察知して伝えに来たじいもまた、清明に斬られた。


 正当防衛とはいえ、斬り合った際に清廉は兄である清明を殺してしまった。


 全ての元凶は、この女……。


 清廉は憎しみに満ちた目を、七重に投げかけた。


 「な、何なのかしら」


 清明から奪い取った刀を、清廉は七重に向けた。


 「誰か!」


 七重は危険を感じ、人を呼んだが、


 「無駄ですよ。空に輝く恐怖の大王に怯え、誰も外にはいません。加えて……。他でもないあなたが、父を殺害するためにさっき人払いをなさったでしょう?」