「ここは、どこですか……」


 私は彼らに尋ねた。


 「どこって……」


 彼らは顔を見合わせ、そして年配の女性の方が私の質問に答えた。


 「水城(みずき)家の居城の、客間だよ」


 「みずき……?」


 「あんた、どこの娘さんだい? 浜辺で倒れていたところを、若様が……」


 「浜辺に倒れていた?」


 私は、自分の置かれている状況が把握できずにいた。


 なぜ倒れるような結果になったのか、思い出せない。


 冷静に考えよう……。


 私は何をしていたのか。


 ……。


 徐々に記憶が蘇ってきた。


 そうだ私は、海の向こうに、満月に照らされた島影を見たんだ。


 海に沈んだ、伝説の島のシルエット。


 それに導かれるように。


 波に飲まれて……。