庭園を突っ切って、水城家の屋敷の高台。


 海を見おろせる場所にお堂は位置している。


 そこに清廉は監禁されているはずだった。


 だが、様子がおかしい。


 なぜか衛兵が一人もいない。


 お堂の扉が開いている。


 「……?」


 何かあったのが明々白々で、私は恐る恐る近づき、お堂の中を覗いた。


 「いや……!」


 お堂の中は血みどろで、二人倒れている人がいた。


 「じい!」


 扉の側に倒れているのは、じいだった。


 背中から刀で刺されたようだ。


 そして、お堂の内部には……。


 「まさか……」


 うすぐらくてはっきり見えなかったのだけど。


 それが長い髪を束ねた男性であるのを確認した時、私の心臓は止まるような気がした。