「……!」


 ようやく光が収まり、目が慣れてきた頃、私は辺りを見回した。


 「うそ……!」


 満月が、海を二つに分かつかのように、道を照らしている。


 そしてその先には……島が見える。


 沖合い何キロ辺りだろう。


 島が浮かんでいる。


 夜の闇の中に、シルエットが見える。


 あれが幻の島?


 私は目の前に存在する、光った道を歩いていきたい衝動に駆られた。


 その時。


 「おい、何やってるんだ」


 突然後ろから声を掛けられ、私はびっくりした。


 振り返ると……暗くてよく見えないけど、若い男がいる。


 さっきの花火をしていた連中の一人だろうか。


 「……」


 私は気味が悪いので、逃げようとした。