波音の回廊

 「鳥はいいな。好きなように空をどこまでも飛んで行けて」


 空を見上げ、清廉は寂しそうに口にした。


 「生まれ変われるなら、私は鳥になりたい」


 「鳥?」


 「翼がほしい」


 清廉は心の底で、密かに願っていた。


 この島に縛り付けられた、不自由な身から解放されたいと。


 「瑠璃も知っているのだろう? 海の向こうには、まだ知らない土地や国がたくさんあることを」


 私は頷いた。


 「西には日本があり、その向こうには朝鮮や明国(中国)。東には何があるのだろう?」


 「さ、さあ。ずっと海なのでは。無人島くらいなら、あるかもしれないけど」


 そのずーっと向こうにはアメリカ大陸があるはずだけど、まだコロンブスにも「発見」されていないはず。


 「行きたいな。この海の果てに。東側にずっと進んでいけば、海の果てを見ることができるのだろうか」


 地球が丸いということを、当然清廉は知らない。