連中の忠告をも無視(?)して。


 私はそのまま歩き続けた。


 さっきの若者も、海に沈んだ島に言及していた。


 これだけ伝承が残っていることは。


 やはり昔、この海の向こう側に島は存在していたのだ。


 それが忽然と姿を消してしまったのも、事実。


 いったい何があったのだろう。


 昼間にみつ子さんから教えてもらった、アイヌの古老たちに伝わっている伝承。


 あそこまで具体的に伝わっているということは、ある程度は事実を反映させた内容なのだろう。


 「繁栄していた島」


 「堕落」


 「恐怖の大王」


 「父・母・兄殺し」


 「神の怒り」


 そして島は、海の底へと沈められた。