波音の回廊

 「確かにそれは、非現実的だな」


 清廉も笑った。


 「いきなりこんな大きな娘の父親になるのは、清廉だって嫌でしょう?」


 「嫌だな。瑠璃が娘なら、もうこんなことできなくなる」


 清廉は私を引き寄せ、髪を撫でた。


 「それは地獄だ」


 私も。


 清廉を「父上」なんて呼べない。


 「他に手段は一つ。結婚するか」


 「結婚!?」


 私は清廉の膝に頬を乗せ、横たわっていた体を飛び上がるように起こした。


 「なぜそんなに驚く?」


 「だって」


 「私は、浜辺で倒れているお前を見つけたあの時から、運命のようなものを感じていた」


 「……」


 「それに、正式に婚姻関係を結べば、次期当主の妻であるお前に、誰も手出しはできなくなる」