波音の回廊

 「清廉、あなたは未成年なのに、お酒を飲んでもいいの?」


 「は? 酒に年齢制限などあるのか?」


 清廉は不思議そうな顔を見せた。


 この世界に、未成年という概念など存在しないのだけど……。


 「まあ、年端も行かぬ子供に、酒を勧める親はいないけどな」


 清廉は杯をじっと見つめながら、微笑んだ。


 「親」という言葉が清廉の口から出たので、私は昨日の一件がどうなったのか気になり始めた。


 「昨日のこと……、結局お父上には伝えたの?」


 「伝えた。でも父上は、私の言うことなど信じてはくれなかった」


 「え……」


 「父上は、私なんかよりも七重のほうが大切なんだ」


 「……」


 口調は強がってはいるものの、清廉の表情は寂しそう。