波音の回廊

 ……。


 「酒!」


 その夜、部屋に戻ってきた清廉は、いつもと雰囲気が違った。


 私は待っていただけなので、事情がよく分からず。


 昼間、当主であるお父上の元に、企画書のようなものを持参する予定だとは聞いていた。


 だからそこで、あまり評価されなかったのだろうと予想した。


 その後帰りがけに七重の元にも出向いて、殴り込みのようなことまでしていたとは何も知らずに……。


 夕食の際、私は清廉に呼ばれた。


 最初からふさぎ込んだ表情をしていたのには、気がついていた。


 そして浴びるように、酒を飲み始めた。


 注いでも注いでも、すぐに杯が空になる。


 私は何度も、侍女に追加をお願いした。


 侍女が入れ替わり立ち替わり、新しい酒を部屋へと運び込んだ。