波音の回廊

 「殿にばらす気ならば、言ってごらんなさい。そうすれば私、清明に無理やり手篭めにされそうになったって、泣きながら申し開きをするわよ。そうなれば立場が悪くなるのは、どちらかしらね……?」


 七重は挑発的な笑みを浮かべた。


 (この女……、父上の寵愛をかさに着て……!)


 清廉は危惧した。


 今の父ならばこの女の嘘を真に受けて、兄だけを罰するかもしれない。


 そんな予感がした。


 (この女は、被害者面をしてのうのうと生き延びる……!)


 そう考えると、無性に腹が立った。


 つい腰に差した刀に手が伸びる。


 「……あなたが罪人になったら、あなたが大事にしているあの娘は、どうなると思うの?」