波音の回廊

 「いけしゃあしゃあと……。あなたから兄上をたぶらかしたくせに」


 「何の証拠があって? 私が清明を誘うような言葉、一言だって発したかしら?」


 「……!」


 確かに七重のほうから明確に清明を誘うような言葉は、清廉は聞いてはいなかった。


 「それにしてもあなた、覗き見だなんて悪趣味ね」


 そして今度は逆に、悪いのは覗きをした清廉だと言わんばかりの雰囲気で、話を転換してきた。


 「私のあら捜し? 何かを嗅ぎ回っているの?」


 「ぬけぬけと……。父上の妻と言う身でありながら、不義密通を働いておいて……」


 「さっきも言ったでしょ? 私は被害者だって」


 「ふざけるな」


 「ならばどうすると? 殿に告げ口でもする気?」


 「お前なんか、この家から追い出してやる」


 清廉は七重を脅したのだけど……。