「つーかさっ!!
舞乙女は、災厄を追い払う為に転生してきたんだろ?
なんで、
何も出来なかったんだよ!!!」
いつの間にか
兄貴が話す『物語』に夢中になってたオレは、
ついつい口を挟んでしまった。
「全ての騎士を見つけられなかった舞乙女には、
災厄を退ける力を得る事が出来なかったんですよ…。」
兄貴は悲しそうに答えた。
「いつも明るい彼女でしたが、
僕の前で時々、
泣いていました……。
自分に力が足りないばかりに、
騎士を見つけられない…。
このままでは、
災厄を防ぐ事が出来ないかもしれない…と…。
……結局、彼女の恐れていた事は起こってしまったんですが………。」
そっか……。
ヒナタも苦しんだんだろうなぁ………。
「……こうして、
太陽を失った世界は滅び、
希望を失った人々の魂は
災厄の月に飲み込まれ…
後に残されたのは
泥にまみれた汚れた大地と、
舞乙女、
そして3人の騎士である僕達だけだったんです………」
そこまで話すと、
兄貴は深く溜め息をつく。

