「・・キ・・・ス・・・」
「え・・・?」
「知らない女の子と・・・キス・・・してた・・・かん、だくん」
「は・・・?」
ずっと静かに聞いてくれてた流輝がその言葉と共に私から身体を離して驚く
「なんだそれ・・・」
「あたしにもわかんないっ!
何か理由あるんじゃないかって頭ではわかってるのに
わかってても涙が止まらないのっ・・・」
〝助けて″
流輝に言ってしまった咄嗟の一言
それが大間違いだってわかってるけど
兎に角苦しいこの胸を
早く楽にしたくて
何が正しいのかなんて全然わからない
誰かに言葉をぶつけることでしか楽にならない
ううん。ぶつけたところで楽にならないのに・・・
「りゅーき・・・?」
忽然と黙ってしまった目の前の彼に恐る恐る声を掛けると、伏せていた顔を上げる流輝
「お前が笑顔で居るなら。
お前が幸せなら我慢しようって決めてた。」
そう私に告げる流輝は高校2年生の秋に見た
あの、優しくて哀しげな瞳をしていた

