理恵の前にいる私は、何も知らない綺麗なあたしがいいの。
薄汚れた、こんな私じゃあ、一緒になんていられない。




力を込めて、彼から身体を離した。





「私は、汚れてるの。心も、身体も・・・・。そんな友達、要らないでしょ?」





大切だと、思ってしまったの。
彼女を失いたくないと。
すべて知られて、いなくなってしまうのが、怖い。

曝け出すなんて、出来ない。
都合よく、すべてひっくるめて友達だって思ってくれてるんだなんて思えない。




「・・・・・家、そこだから」





何もいえないでいる彼にそう告げて、寂れたアパートの階段を登る。
鍵を開けて、部屋の中に逃げ込んだ。




閉じた玄関に持たれ、ズルズルと滑って座り込む。






抱きしめられた身体が、熱い。
知りたくなかった、こんな温もり。




ああやって、私の汚いところ全部ぶつければ、あいつだって離れてくって思ってた。
さっさと離れてくれたほうが、よかったんだ。



きっと、これ以上一緒にいたら、私は深みにはまる。
また、同じ失敗を犯すんだ。




自分が、傷つくと知りながら。