「・・・けん・・・た・・・」 私には、健太しかいない。 健太しかいないのよ。 だって、私の世界に色をつけてくれたのは健太だったから。 「・・・春香ちゃん」 優しい声。 でも、健太じゃない。 欲しいのは、その声じゃないの。 この温もりも、匂いも、全部違う。 健太じゃない。 なんで、健太に見えたんだろう。 馬鹿だね。