もう少し、あの角を曲がれば家まで一直線だ。
でも、さすがに足が限界。

徐々に落ちていくスピードと上がる息。
曲がり角に差し掛かった瞬間、突然後ろから腕を掴まれた。




「きゃっ」




グイグイと引っ張られ、路地裏に連れ込まれた私。
壁に押し付けられ身動きが取れなくなる。




「いやっ!」

「静かにしろ」




ドスのきいた声が頭上から聞こえる。
ビクッと肩を震わせ、顔を上げる。



帽子を目深にかぶった男の人。





「誰・・・っぐ・・・!」





叫ぼうとした私の口を片手で抑え込む。
もう片方の手で私の気ていたコートを強引に脱がせにかかる。
必死で抵抗するけど、男の力に敵わなくてするりと地面に放り投げられたコート。




「どうせ、いろんな男に股開いてんだろ」




耳元でささやかれる言葉。