きっと、君を離さない




露骨な接客はないとはいえ、お酒が入るとたちの悪いお客さんがいるのだって事実だ。
だから、悠斗の言うことだってわかる。

私だって、この仕事が自分に向いてるとは思ってない。



でも、今の私にはここしかないから。
生きていくためには、ここで働くしかない。




高校の時に、ちゃんと就活でもしておけばよかったのかもしれないと、今更ながら思うことはあるけど。
あの時の私じゃあ、どこに行ってもやっていける自信はなかった。


人を拒絶して、誰も信じられなくて、後ろばかり向いている私。
そんな私を、受け入れてくれる所なんてないって思った。




「私は、春ちゃんがいてくれるのは助かるんだけどね、よく考えなさいね」

「はい・・・」





どうするべき、なんだろう。
今は、あの頃とは違う。
少しずつだけど、前を向いて生きていけてる。


今から働き口を探して就職することも、頑張っていけると思う。





でも、すぐにすぐやめてしまうわけには・・・。





江梨子さんは、きっとお金の援助を申し出てくれるだろう。
でも、江梨子さんに迷惑をかけたくない。

今までさんざん助けてもらったから。




ちゃんと、自分でやっていきたいんだ。