「時枝さん・・・」



授業の延長で眠っていた私を呼び起こす声。
どれだけぐっすり寝てしまっていたのかと体を起こす。

その顔を覗き込んできたのは本田理恵。



「・・・あんた」




怪訝な視線を向けると、理恵は苦笑を浮かべた。




「ごめん、次移動教室だから・・・」

「あ、ああ・・・。ありがとう」

「うん」



それでわざわざ起こしてくれたのか。
別にサボっても良かったのに。




「・・・行けば?私は起きたんだから用は終わったでしょ?」

「うん・・・。あ、あの。一緒に行かない?」

「は?」

「次の教室まで、一緒に行かない?」




理恵が照れくさそうにそう言うのを見て、私は戸惑った。
この前、突き放したはずだ。
それなのに、どうして・・・?