「イカリソウ」
「え?」
「その花の名前」
「イカリソウ…」
私は、それをじっと見つめる。
「その意味は・・・」
「・・・?」
「いつか、教えてあげるね」
そう言うと彼は私の手からそれを奪い、ケースの中から取り出すと私の首にネックレスを通す。
少し苦戦した後、その手は離された。
「うん。よく似合う」
「・・・こんなの、いただけません」
「なんで」
今更ながらそう言うと、にっこり笑ってそう返された。
こんな素敵なもの受け取る理由なんてない。
それに、私はなにも用意してないのだ。
「俺が、春香ちゃんにあげたいって思ったんだ。それに、返されたって困る。こんなの、俺が付けてたらただの変態だ」
「ぷっ、言えてる」
隣で成り行きを眺めていた草太が噴き出してそう言った。
そうではなくて、もっと他にこれが似合う人がいるはず。
草太はああ言ったけれど、彼女の事、きっと悠斗だって忘れたわけじゃないはずだ。


