そんな声が出せるのだ、と思った。
いつも小さな声でぼそぼそと喋るイメージがあったから。
「私は、時枝さんだから憧れたの。時枝さんだから、なりたいって思ったの」
熱く語られている。
悪いけど、全く胸に響かない。
つくづく冷たい人間なのだと思う。
何を言われたって、私なんかみたいにはならないほうがいいし。
憧れられるような人間じゃない。
「間違ってるよ」
「時枝さん・・・」
気づいたらいい。
私がどれだけ冷たい人間か。
あなたのことなんてこれっぽっちも考えてない。
言ったでしょ。
あんた見てるとイライラするって。
それが答えなんだから。
「私のこと、何も知らないくせに」
私はそう言って教室を後にする。


