「みんなは、とっつきにくくて怖いって言うけど・・・私はかっこいい人だなって思ったの」
「馬鹿じゃないの」
「私は・・・そうはなれないから。人に何か頼まれて、それが利用されてるんだってわかってても、断れない」
理恵の声が誰もいない放課後の教室に響く。
みんなはそれぞれに部活や帰宅で出て行ってしまった。
なぜ私は理恵とこんな話をしているんだろう。
人と関わりを持つつもりなんてなかった。
友達なんていらない。
だから、気にする必要もないと・・・。
それなのに、どうして?
「でも、時枝さんなら。はっきりと嫌だって言えるよね」
「え?・・・ああ、まあ」
「私、時枝さんみたいになりたい」
私みたいに?
バカみたい。
私みたいになんてなってどうするの。
「馬鹿なの?友達もいない、恋人もいない、こんな私みたいになってどうするのよ。もっとほかにも憧れられる人はいるでしょう」
「いないよ!」


