「……食べろと?」
「だめ?」
どうせ私に拒否権はないんだろう。
とても食べられないほどじゃないけれど、激辛いラーメン2杯分、喜々として“誘導リア充激辛ラーメン店作戦”を語る彼の横で食べる私の滑稽さと言ったら……!
完食する頃には、お水を5杯もおかわりしていた。
完食の秘訣は勢いだ、と語った私に対し、阿久津は一言。
「おもしろ」
鼻で笑っただけだった。ですよね!
「ありがとうございましたー」
先程の店員の声を背に受け店を出る頃には、来店時から1時間も経っている。
満腹の上に、疲労感で半端ない私は、どうしよう既に帰りたい……!
救いと言えば、ラーメン2杯分、阿久津がお金を出してくれたことだけだ。そのお金があるなら、どこかもっと違うところへ行けただろうに。

