「……じゃ、お兄ちゃんは少し出かけてくるから。あとは若い人同士良いことしてなさいね」
「……まじ死ね」
「頑張れ少年」
最後に心底楽しそうに笑った海斗さんは、意味ありげな言葉を残して、ようやく部屋の前から立ち去ってくれた。
だけど阿久津はすぐには部屋に戻ろうとせず、海斗さんが階段を最後まで下りるのを見届け、玄関の開閉音まで聞く徹底ぶり。
ほんとにどこかへ出かけたらしい。なんか悪いな、私が来てるせいで、余計な喧嘩をさせてしまったのかもしれない。
やっと静かになった部屋で、青年は再びベッドに横たわる。
勿論、念入りに鍵は閉めた。
「……こ、濃い人だね、海斗さん」
「関わんない方がいいよ。あの人前科あるから」
「えっ!?」
「嘘だけど」
「よく実の兄を犯罪者に仕立て上げられるますね阿久津サン……!」
言えば、微かに阿久津は眉を顰めた。
なにこの人いつものことだけどえげつない嘘つく。

