え、なんだろう。阿久津が書いたんだよね? え、まさか感謝の気持ちを書いてくれちゃったり、みたいな? たまには可愛いことするのね。なんだか照れる。
――なんて淡い期待とくすぐったいときめきは、すぐさま砕かれ散った。
“本当はコーヒー飲めないんだよね。甘いのも苦いのも苦手。”
「……阿久津」
「なに」
「……なんかごめん」
まさかのカミングアウト!
めっちゃコーヒー飲みそうな顔してるじゃん阿久津……! 雰囲気詐欺!
ていうか今言うのね! バレンタインのとき言ってくれればよかったのに。
いやチョコを贈る日に敢えてコーヒー豆をチョイスした私のセンスにも問題はあると思うけど。
でもその場で言ってよ……! もう。いや、阿久津らしいけど。
それでもちゃんとお返しを用意してくれるんだから、悪い奴ではないんだけど。
あの時は気を遣ってくれたのかもしれない。彼なりの優しさなのだろうか。

