寒かった外からの温かい店内と熱いラーメン。これこそ冬の醍醐味……!
……クリスマスイブなんて関係ない。断じて関係ない。
……オシャレなレストランにでも行くのかと思って、普段よりオシャレしてきたとか、そんなことない。……そんなことしてない。
「いただきます……」
ちょっと元気をなくしたまま、麺とスープを口に含む。
……これは……。
「ど? 辻野。ここの醤油ラーメンくっそ辛いだろ」
「……阿久津」
正直言って、……くそ辛い。並の辛さじゃない。割と辛党で定評のある私ですら辛く感じる。
え、何? 阿久津は知ってたの? 知っててここに連れてきたの? え? は?
「ここの店、毎年クリスマスとイブに男女で来店した客にはくっそ辛いラーメン出すらしいんだよね。良心的な心がけだと思わない?」
「……最低か……っ!」
「世のカップルをこの店に誘導する方法考えようぜ」
今日一で良い顔をして笑った青年は、自身のラーメンを私の方へと寄せてきた。

