向かいのソファに座る、珍しくマスクをした阿久津と、終始笑顔の海斗さんを交互に見比べてみるけれど、顔がよく似ている。あと声も。



ただし海斗さんは阿久津がするような卑屈な笑みは浮かべないし、いちいち嫌味を込めた喋り方もしない。



それどころかフレンドリーで紳士で優しく柔らかい雰囲気をしているから、モテるんだろうなと思う。



阿久津より若干大人びた顔つきで、髪も少しだけ長く、カッコいい。



私より7つ年上だと言っていたから、24歳……? 立派な社会人だ。




「まさか家族のいない間にこんな可愛い彼女を家に連れ込んでるとは思わなかったよー、お兄ちゃん寂しいー」




にやにや楽しそうに喋る海斗さんの視線の先には阿久津がいて、酷く嫌そうに顔を顰めている。



「……辻野とは付き合ってないけど」


「ふーん、辻野ちゃんって言うんだ、下の名前は?」


「あ、栄美です」


「そっかー、栄美ちゃんかー! 本人にぴったりな可愛い名前だね」




さらりと褒められて、勝手に頬が熱くなった。