――と、思ったのも束の間で。
「ひっ……!?」
「やっぱ辻野、」
今度は背中、と呼ぶには少し下。私の腰に手を這わせた阿久津が、心底楽しそうに私の耳元で囁く。
その妙な色っぽさに、全身の体温が急上昇していくのが自覚できた。
また、ベッドが軋み、その音がやけに耳に響く。
「――警戒心なさすぎ」
「……いや、……え、……ぶへっ!」
――そのまま彼は、私を押し倒す。
――というか、押し出された。
腰を強く押され、前のめりに倒れる自分の体。
そこがベッドの上ならまだよかったものの、なんと奴は私を座っていたベッドから突き落とし、床に転ばせたのだ。
見知らぬ誰かから阿久津がもらった、本命チョコの入った紙袋のすぐ隣で、同じく惨めにも膝をついて倒れこんでいる私。絨毯に唇が触れた。
……い、痛い。
体を起こしてベッドの上で足を組み悠々とこっちを見下ろしている同級生を涙目で睨みつけるも、何故か枕をふくらはぎの辺りに軽くではあるけど投げつけられる始末。

