なんだこの人……! どんなバカだ、……いや、また私をからかって楽しんでる。
と、頭では分かっていても、頬が熱くなるのはどうしても自分の意志じゃ抑えられなかった。
「……辻野って、驚くほど警戒心ないよね?」
「……え?」
「わざと?」
「……は?」
隣り合って座ったまま、じんわりと距離を詰めてきた阿久津の腕が私の肩にこつんと当たる。
またベッドがギシギシっと音を立てて軋んだ。
……警戒心? なんの?
錆びたブリキ人形さながらかくかくと首を横に動かせば、同じように私の方を見ていた彼の顔が思うよりずっと近くにあって、すぐに180度回転させて反対側を見た。
――その反動で、バサッと音を立てて私の髪の毛が阿久津の顔面にダイレクトヒットしてしまう。
あ、これ地味に痛いやつ。
「うわっ、ご、ごごごめん!」
「……辻野の髪全部うどんと生え変わればいいのに……」
「きもいわ! ……や、じゃ、なくてご、ごめんなさい」
割と本気のトーンだったよ阿久津。確かにうどんなら柔らかそうだ。でもうどんって白いじゃん。私まだ白髪が生えるような年齢じゃない。なんてどうでもいいか。

