「嘘だよ」
だけどすぐに降ってきた何気ない言葉に、ほっと息を吐く。
……なんか、今日は私、焦ってばかりいる気がするな。
阿久津が人をからかうのが大好きってことは知っているはずなのに。
いちいち、その言動を本気にして気にしちゃってる。……おかしい。
「もー、適当なことばっか言う。阿久津って」
「嘘の、反対の反対の反対の反対の反対」
「どっち」
私があはっと笑えば、青年は紙袋を自身の足元にゆっくり置いた。
不安定なそれは、床でこてりと倒れてしまったけれど、阿久津は気付いているのかいないのか、視線は既に紙袋から外れている。
「……で、本当の理由は?」
「何、辻野、ヤキモチ?」
「……は?」
「さっきから目、合わせないし。質問攻めだし」
「は?」
余裕綽々の憎たらしい笑みで私を見た阿久津と、今日久しぶりに目が合った気がした。だけど私からすぐそらす。

