とかなんとか思いながら元の位置に戻そうと再びリュックに手をかけたとき、何の気配もなく部屋のドアが開く。
「……あ」
「……何してんの? 辻野」
見つかったのが運の尽き。
ていうか私が悪いんだけど。怖い。
両手にコップを二つ持った阿久津は、怪訝な表情で私と、私の手元のピンクの袋を交互に眺めた。
暫くの間動作を静止し、呼吸までもを停止していたけれど、
「……辻野の体を流れる血が全部豆乳になればいいのに」
低い声で呟いた彼にハッとして、慌ててその場に正座する。
ピンク色の袋も、そっと目の前のミニテーブルの上に置いた。
――ただし、私の持ってきた紙袋だけは、見つからないように自分の後ろにひっそり隠す。
「ご、ごめんなさい」
勢いよくおでこを床にこすりつけて土下座するけど、降ってくるのは阿久津の鼻で笑った音だけだった。
どどどどどうしよう、怒ってる……!? てかあの阿久津が怒らないわけない……!
ぎゃーっと内心悲鳴を上げながら脳内で自分に自分で飛び蹴りを食らわせるけれど、時間は巻き戻ってはくれない。

