「なにあれ、うさぎのうんこじゃん」
「おい阿久津」
確かに丸っこいけども。黒茶色だけども。
……もうそれにしか見えない。
「この世からチョコレートなんて跡形もなく消え去り倒せばいいのに」
――それをきっかけに、面倒くさい青年の卑屈スイッチが入ってしまったようだ。
「辻野、ちょっと宇宙中のチョコレート、買い占めてこいよ」
「無理すぎる」
「あーあー。可愛い彼女から手作りチョコもらいたいなー。もういっそうさぎのう」
「わかったから、わかったから……!
二度も言わせまいと、駄々っ子のように騒ぎだした阿久津の言葉を遮って、彼からリモコンを奪い取ってチャンネルを換える。
聞いたことのないような題名の洋画の放送を見つけて、リモコンを置いた。
画面の中では、美女二人と、男性一人が芝生の生い茂る庭で楽しそうにバーベキューしている。美味しそう。
阿久津の寝転ぶベッドによしかかって、それを眺めていれば、
「安っぽ」
後ろで彼が吐いた溜息が直に首筋にかかって一瞬どきっとする。

